第9回 技術講座「遺伝子診断のいろは」(24)


VI.パルスフィールド電気泳動による分子疫学(1)


院内感染原因菌の疫学

Staphylococcus aureus
 コアグラーゼ型、エンテロトキシン型、ファージ型
 抗菌剤感受性パターン
 PCRによるmecAの検出

Coagrase negative Staphylococci
 抗菌剤感受性パターン

Pseudomonas aeruginosa
 血清型、ファージ型、ピオシン型、抗菌剤感受性パターン
 ポイントミュ−テーション等きわめて細かい部分の解析を行うのとは異なり50-100kb程の大きさのDNA泳動パターンで解析を行うのがパルスフィールド電気泳動です。
 現在、O157、MRSAといった感染経路の特定がその対策にどうしても必要な微生物のゲノム型を調べ,菌の伝播経路の追跡が行われています。ゲノム型とは細菌DNAを数種類の制限酵素で切断し、生じるDNA断片の長さを電気泳動で型別するものです。従来のアガロース核酸電気泳動では数100〜20,000base の範囲での分離がせいぜいでした。これでは巨大な細菌DNAの切断パターンは解析できません。



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