タンパクなどの両性電解質を個々が持つ固有の等電点の差を利用して分離する方法 等電点(pI,isoelectric point):タンパクなどの両性電解質はアルカリ性溶液中では(−)に荷電し、一方、酸性溶液中では(+)に荷電しているが、溶液のpHを変えていくと、(−)と(+)の荷電の代数和が0になるようなpHが見出される。このpHをその両性電解質のpIとよぶ。 | PAGは等電点電気泳動法としての利用価値があります。等電点電気泳動法とはタンパクの両性電解賢を個々が持つ等電点の差を利用して分離する方法です。 PAGは電気浸透現象が無いので、等電点電気泳動には相応しいのです。等電点(PI)は、個々のタンパクが持っています。例えばアルブミンはpIが4.9ですので、溶液のpHを変えてゆくと、荷電の代数の和が0になるようなpHが見出されます。それが両性電解質のPIであり、それを利用して分けるという方法が等電点電気泳動法です。 |
![]() ○は両性担体、□はタンパク質を表し、数字は等電点を表す。 a.泳動開始直後、b.両性担体のpH勾配に対するタンパクの泳動、c.泳動終了時の状態 | ゲルを作成する時に、両性担体をいっしょに加えます。両性担体は分子量が小さい為に電場をかけますと、最初にこの両性担体が移動します。するとまずpH勾配ができますので、ついでタンパクが個有のpIまで移動するという原理です。等電点電気泳動を最初に手掛けました時に、普通の電気泳動と随分感じが違いました。ひとつには緩衝液を使わないで、+にはリン酸、−には水酸化ナトリウムの液を使います。そして電気泳動の電極は膜に出来るだけ近付けます。又電極液は非常に少量で十分だという事が実験をしているうちにだんだん判ってきました。通常の、電気泳動では電流は泳動終了時まで流れておりますが、等電点電気泳動では蛋白はpIのところにくると全然動かなくなりますので、等電点電気泳動の終りというのは、電流が原則的には零になった時です。 |