第2回 特別講演「免疫グロブリン異常症」(1)


 櫻林先生、ご丁寧なご紹介有難うございました。昨年、やはり特別講演で電気泳動法による血清蛋白分画がどれ位臨床の役に立つのか、ごく総括的お話を申し上げましたところ、もう少し各論的な詳しい話を聴きたいというご要望が1、2出まして、連続で大変申し訳ありませんけれども今日は特に血清蛋白の電気泳動法で皆さん方が一番よく遭遇し、又検査室側が主体性をもってinvestigationを進めるM蛋白血症を中心にお話してみたいと思います。もうこの会にご出席しておられる方々のかなりの方は、もうベテランでこの方面の知識を沢山お持ちのことと思いますけれども、特にこの分野に比較的最近になって加わられた方々のことも思いまして、意外とこういった基礎的な易しいことをお話、討議する場が少ないのです。電気泳動学会に行っても研究発表が主ですし、又昔は −私が紅顔の美少年の頃− IEP研究会、免疫電気泳動を中心としたユーザーのグルーブを作りまして、いろいろ基礎的なことを討議したことがあるのですが、それ以後幾つか地方で地域的に活動しているグルーブもありますが、全国的なレベルでごく日常の問題点を話し合う機会というのは、余りないものですから、今日は敢えてM蛋白血症についてお話し申し上げようと思ったわけです。

 タイトルとしては「免疫グロブリン異常症」ということになっております。
 他の血清蛋白成分ですと3つの変化しかありません。即ち増えているか、正常か、それとも減っているかということです。その内でもアルブミンについては増えることはありませんで、正常か、減少の2つの方向しかありません。ところが免疫グロブリンについては4種類の変化が認められます。増加している場合、正常な場合、それから減少している場合で、これは普通の血清蛋白成分と同じようにあるのですが、ただ免疫グロブリンが他の蛋白質と違う点というとPolyclonicity、多クローン性を持っているという特徴があります。即ち、電気泳動のパターンでいうと非常に幅広い領域に泳動される。同じ名称の付いている免疫グロブリンという蛋白質でありながら、非常に幅広い領域に泳動されるということは、電気的な荷電が少しずつ違った分子が一群をなしているということです。この点が他の血清蛋白成分と大変違うところです。従って増加している場合も2種類ありまして、幅広く増加する場合と、幅狭いバンドとして増加する場合とで免疫グロブリンに関しては4種類の変化が認められます。即ち、幅広い多クローン性の増加と、幅狭いバンドとして増加してくる単一クローン性(モノクローナル)な増加、正常、そして免疫グロブリン欠乏症あるいは減少という4つの変化が認められるわけです。


1.免疫グロブリン異常症の分類

 これについては、もうすでに皆さんご承知なので、改めて詳しくご説明致しませんけれども、先程言いました正常、それから減少しているHypogammaglobulinemia、それから増加してるうちでもPolyclonal Hypergammaglobulinemia、それから非常に幅狭い形で増加するMonoclonal Gammapathyと言いたいんですけれども、モノクローナルな免疫グロブリンが出る場合は必すしも定量値が高い場合とは限りませんで、むしろ定量値としては低い形でこのモノクローナル免疫グロブリンは少しだけ出ていることもあります。一般的にはMonoclonal Gammapathy、私は単一クローン性と講演の時には言いますけれども、書くときは単クローン性という言葉もよく使います。一般的には単クローン性という場合が多いんですが、ただお話を聞いている時には、多クローン性か単クローン性か区別しにくいので、モノクローナルの方を単一クローン性と呼ばさせて頂いています。そんなことで、単一クローン性rグロブリン異常症というような言葉でも呼ばれているわけです。今日は主としてこのMonoclonal Gamapathyの電気泳動の読み方或いは臨床的な意義付けをお話致します。



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